平田オリザは、日本で最も有名な劇作家の一人だ。
彼はまだ16歳のとき、16ヶ月間の自転車で世界旅行をした。
旅の直後で彼が18歳のとき、彼はそれについての本を書いた。

 

私は子供の頃でさえ常に自転車や旅行を愛してきた。
私が13歳の頃、私は世界中を回っていく計画を立てた。
私は世界旅行に行くと人々に言ったが、真に受ける人はいなかった。
彼らはこう言うだろう。「ばかみたいな夢は捨てて、地に足をつけたらどうだ。」
しかし、それは私を止めなかった。私が成功しさえすればいいのだ。そうでなくても、私は失敗から生き方を学べるだろう。
私のモットーは、「柔軟性と楽観主義」だ。

私は真剣に計画し始めた。
夜間高校に行くことに決めたので、日中に旅行のためのお金を稼ぐことができた。
私はラーメン屋、パン屋で働き、また新聞配達少年として働いた。幸い、両親は私を支えてくれた。彼らは独立するという私の願いを尊重してくれた。
私は高校から2年間休暇を取った。私は新しい自転車を購入し、パスポートを手に入れ、ロサンゼルスへの航空券を手に入れた。
1979年5月5日、私は旅路に出た。

NEW WORDS and PHRASES
playwright:劇作家  traveling:旅行  cycle:サイクリングする  silly:ばかな  succeed:成功する  flexibility:柔軟性  optimism:楽観主義  bakery:パン屋  independent:独立した  leave:去る
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5月7日、私はロサンゼルス空港から自転車旅行を始めた。
私が信号で止まったとき、誰かが呼ぶのが聞こえた「やあ、どこへ行くんだい?」自転車に乗った若い男だった。
「ニューヨークだ!」と私は言った
ちょっと困惑した様子で彼は言った、「あなたはどこへ行くんだい?」
「ニューヨークだ。」
「ニューヨーク!」彼は繰り返した。
私は彼の英語をほとんど理解することができなかった。わかったことは彼の名前がデニスであり、彼が私を彼の家に招待していたことだけだった。少し迷ったのち、私は受け入れた。

デニスは友人と彼の妻と家をシェアしていた。妻の方が偶然にも日本語を話せた。
私は一緒に夕食を食べた。ーーフライドチキンとフライドポテトとデザートにアイスクリームも。
デニスは何か取り出して私に読んだ。それは自転車旅行者を支えた 人々のリストだった。
デニスは私がどの家でも無料で食事をして泊まることができると説明した。

その名簿は非常に役に立った。アメリカ全土をサイクリングしながら、私は20軒の家を訪れ、多くの友好的な人々に会い、それをフル活用した。
デニスに会ったこと、旅行の最初の日にこの素晴らしい贈り物を受け取ったことは、人生の神秘において私を驚かせた。人生の多くは運とチャンスによって決まる。

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hardly:ほとんど  figure:姿  hesitation:躊躇  fried:揚げた  directory:住所氏名録  mystery:神秘、謎
3

自転車旅行の間は良い日も悪い日もあった。たびたびタイヤがパンクした。実に18回!
そして時として天気が問題になった。人々が助けになったが、常にそういうわけではなかった。
ほとんどの日をテントの中で寝た。スペインでは来る日も来る日も雨が降った。ある朝、私は起きると全てのもの、寝袋さえもが濡れていた。ホテルに移動しなければならなかった。
イングランドのケンブリッジでは日記を書いている時に、誰かがテントに石を投げて始めた。アジア人をからかったような歌を子供が歌っているのが聞こえた。
人種差別かただのジョークだったのか?
イングランドでは良い友人ができたことを思い出し、怒らないように決めた。夜は私には暗かった。
remind oneself:思い出す
フランスでは、パスポートをなくした。幸運にも、警察に届けてくれた誠実な人がいた。 数日後には取り戻せた。
知らない人の親切さに感銘を受けた。

イタリアのミランでは、私の持ち物は全て盗まれた。
非常に悲しい思いをし、旅行をやめようとさえ考えた。
そして私が経験して来た親切なあらゆる行いを思い出し、続けることを決めた。
26ヵ国を訪れ、約2万キロを自転車に乗った。1980年9月17日、無事に帰路についた。
*safe and sound:無事に

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helpful:役に立つ  wet:湿る  racial:人種の  discrimination:差別  honest:誠実な < belonging:持ち物  steal:盗むquit:やめる  sound:音がする
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日本に帰って来ると、人々は同じ質問をしたのが思い出せる。「旅行から何を学んだの?」
いつもこの問いに答えるのに苦渋する自分に気づくのだ。
多くの国に訪れたのは事実だし、この経験がこの後の私の人生で役に立つとわかった。
私は多くの友人も作った一方で、自力で生きることも学んだ。
人々は大きな一般論を聞きたがっていることはわかっている。しかし、私は単に「人生は厳しいため、それぞれ共に生きることを学ばなければならない」とか「人類にもっとも重要なのは自由であり、自由な人生を送る準備ができている。」みたいな何かを言うことはできない。
その代わりに笑って口ごもる「うーん、そんなないよ。経験が将来助けになるかもしれない。わからないけど。」

いま私は18歳だ。この時点ではまだ私は旅行から何を学んだかを明確に答えることはできない。
私の前には長く伸びた道があり、さらに先に多くの曲がりくねった道に枝分かれしている。
将来振り返った時、旅で学んだことを言えるようになりたい。今私が言えることは家に帰った少年は16ヶ月前に日本を旅だった少年とは別人だったということだ。

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rest:残りの generalization:一般論  mumble:口ごもる  definitively:決定的に  branch:枝分かれした  winding:曲がりくねった